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相続で実家を引き継いだけれど、家の中は物がいっぱいで手がつけられない──そんな悩みを抱えている人が増えています。空き家はそのままにしておくと、管理・防犯・税金の面でもさまざまな問題を引き起こします。この記事では、空き家を片付けるタイミング、実際の手順、業者に頼む場合の費用感まで、わかりやすくご紹介します。

空き家が問題になる背景とは

近年、空き家の数は全国的に増加しています。総務省の統計によれば、日本全国で空き家は800万戸を超え、その多くが適切な管理をされずに放置されているのが実情です。相続によって突然空き家を抱えるケースも多く、特に実家が遠方にある場合など、対応が後回しになりがちです。

こうした放置された空き家には、さまざまな社会的・物理的リスクが存在します：

• 治安の悪化：無人であることが周囲に知られると、不法侵入や放火、盗難などの犯罪リスクが高まります。
• 衛生・景観の悪化：雑草の繁茂、害虫・害獣の発生、ごみの不法投棄などが起こりやすくなります。
• ご近所トラブル：悪臭や見た目の悪さ、敷地の越境などが原因で、近隣住民との関係悪化に発展することも。
• 維持コストの増加：住んでいなくても固定資産税はかかり続け、老朽化による倒壊リスクへの備えも必要です。

こうした背景から、空き家は単なる“個人の持ち物”ではなく、地域社会全体に影響を与える存在となっています。だからこそ早めの片付け・整理・活用が求められているのです。

適切に片付け・管理・処分を行うことで、こうしたリスクを最小限に抑えることができます。

相続後にやるべき片付けの流れ

相続によって空き家を引き継いだら、感情的にも物理的にも負担を感じる人が多いのが現実です。遺品がそのまま残っていたり、家の管理がされていなかったりする場合、どこから手をつければよいか迷う人も少なくありません。以下に、一般的な片付けの流れをより詳しくご紹介します。

1. 家族間で方針を確認する：家の今後の方針（売却・賃貸・解体・管理）を決めることが出発点です。兄弟姉妹間で意見が食い違うこともあるため、早めに話し合い、合意形成を図りましょう。
2. 必要な書類や貴重品を確保する：遺言書、登記簿、印鑑、保険証券、預金通帳など、法律や手続きに必要なものを最優先で探し出し、紛失しないよう管理します。金銭的価値のあるものは写真に記録を残しておくと安心です。
3. 不用品を仕分けする：残すもの・譲るもの・捨てるものを「個人」「家族共有」「処分」などに分けて分類しましょう。数が多い場合は付箋や色分けのタグを使うと視覚的に整理が進みやすくなります。
4. 大型家具・家電を搬出する：状態が良いものはリサイクルショップや不用品回収業者の買取査定を受けるのも一つの方法です。自治体の粗大ゴミ回収を利用する場合は、申請や回収日確認も忘れずに。
5. 最終的な清掃・管理：片付け後は掃除機・拭き掃除・換気などを徹底し、必要に応じてプロのハウスクリーニングを利用します。また、電気・水道・ガスの停止連絡、郵便物の転送届などの手続きも忘れずに。

作業をスムーズに進めるためには、可能であれば1〜2日で終わらせようとせず、1週間〜数ヶ月の計画を立てることをおすすめします。信頼できる親族やプロの手を借りることで、精神的な負担も軽減されます。

自力とプロ業者、どちらが良い？

空き家の片付けは「自力で進めるべきか」「業者に依頼すべきか」で迷う人が多くいます。どちらが適しているかは、物量、時間、体力、費用、感情的な負担など複数の要因から判断する必要があります。

自力での片付けが向いているケース

• 片付ける部屋数や物量が少ない
• 近隣に住んでおり、何度も通える環境にある
• 家族や親族と協力しながら作業できる
• 自分のペースでじっくり整理したい

自力で進めるメリットは費用が抑えられる点にあります。一方で、時間や体力が必要なため、計画的に作業を進めることが求められます。また、感情的に辛い作業（思い出の品の整理など）に直面する場合もあるため、無理のない範囲での実施がポイントです。

プロ業者に依頼するのが向いているケース

• 遠方に住んでおり通うのが難しい
• 体力的・時間的な制約がある
• 大量の物があり手に負えない
• 相続トラブルや遺品整理も絡んでいる

プロに依頼することで、短期間で効率よく片付けが進むだけでなく、仕分け・搬出・清掃・買取・供養など一括で任せることができるため、精神的な負担が大幅に軽減されます。中にはリフォームや不動産売却の相談ができる業者もあります。

自力・業者のどちらを選ぶ場合も、「信頼できる家族や専門家のサポートを得ながら進める」ことが成功のカギです。状況に応じて両方を組み合わせた“ハイブリッド型”の対応も選択肢の一つです。

費用の目安と内訳

空き家の片付けにかかる費用は、物量や建物の広さ、立地条件、作業内容によって大きく変動します。単純な片付けだけでなく、清掃、搬出、処分、場合によっては買取査定や供養、ハウスクリーニングなど、複数の要素が絡むため、事前に明細を確認したうえで進めることが大切です。

費用に影響する主な要素

• 物量：家具や家電、生活雑貨が多ければその分費用も上がります。
• 階数・搬出環境：エレベーターの有無や駐車場の距離などが作業負担に影響します。
• 立地：地方よりも都市部の方が相場が高くなる傾向があります。
• オプション作業：ハウスクリーニング、買取査定、遺品供養、リフォームなどを追加した場合。

料金体系は「一式見積もり」か「作業員数・時間・トラック台数による従量課金」のどちらかです。不明な点があれば契約前に必ず確認し、できれば複数社から相見積もりを取ることをおすすめします。

実際の片付け事例紹介

70代の両親から相続した築40年の戸建て。3LDKに家具や雑貨が大量に残っており、姉妹で片付けを試みたが進まず、片付け専門業者に依頼。4人のスタッフで2日間かけて作業を完了。買取できる家電・工具類が約5万円分あり、費用は総額35万円程度に抑えられた。作業後はハウスクリーニングも依頼し、売却につなげることができた。

まとめ

空き家の片付けは、「誰かがそのうちやる」では進みません。相続後は早めに家族で話し合い、具体的な行動に移すことが大切です。自力でも可能ですが、物量が多い・時間がない場合にはプロに頼るのが効率的。片付けをきっかけに、家や土地の有効活用を前向きに検討していきましょう。

FAQ

Q. 空き家の片付けに補助金はありますか？
A. 地方自治体によっては補助制度がある場合も。空き家活用・解体促進・移住支援などに関連する制度が設けられていることがあるため、地域の役所や自治体のHPを必ず確認しましょう。

Q. 不用品の中で売れるものはありますか？
A. 家電、骨董品、工具、未使用の贈答品、レトロ玩具、ブランド食器などは買取対象になる可能性があります。リサイクルショップやネット査定、専門業者に相談するのがおすすめです。

Q. 空き家を解体する場合、片付けとどちらが先？
A. 解体前に必ず中の物をすべて撤去する必要があります。解体業者に任せる前に、片付けと仕分けを済ませておくのが基本です。

Q. 遠方からでも片付けの依頼は可能ですか？
A. はい、立ち会い不要で対応してくれる業者も多くあります。鍵の預かりや作業報告を郵送・オンラインで完結するプランもあるため、遠方在住者でも依頼しやすい体制が整っています。

Q. どのタイミングで片付けを始めればよいですか？
A. 相続が発生したら、なるべく早い段階で方針を決め、片付けを始めるのが理想です。空き家の放置はリスクが高まるため、手続きと並行して計画的に進めましょう。